『ミレニアム5 復讐の炎を吐く女』/ダヴィド・ラーゲルクランツ

02 11, 2018
ミレニアム5 復讐の炎を吐く女 上
ミレニアム5 復讐の炎を吐く女 下
ダヴィド・ラーゲルクランツ
早川書房 2017-12-19
自己評価:

2カ月の懲役刑を受けたリスベットは最高の警備を誇る女子刑務所に収容されるが、そこではギャングの一員である囚人ベニートが、美貌の女囚ファリアに暴行を加えていた。見過ごすことのできない彼女は、囚人はおろか看守までも支配するベニートとの対決を決意する。さらにリスベットは、元後見人のパルムグレンとの面会で、“レジストリー"なる機関の存在に気づき、自らの子供時代に大きな秘密が潜んでいることを知った。ミカエルはリスベットから突然、レオ・マンヘイメルという人物の調査を依頼される。この男は何者なのか? そして、刑務所の外では、思いもよらぬ痛ましい殺人事件が起きた。
書き手が変わってのシリーズ第5弾。原題は『自分の影を探した男』。

刑務所に収容されているリスベットが、ある女囚のため際どく立ち回るという序盤だが、なぜそこまで彼女のために動くのかという理由がイマイチわからない。その後の展開もこれと似たり寄ったりで、よーいどん! で物語の歯車が動き出すのでとにかく気忙しい。そこに至る人間ドラマは浅いので深みや奥行きが乏しい。スピード感があるけれど、緊迫感に欠ける展開。

遺伝子研究やイスラム原理主義、サイバーテロなど、ジャーナリストらしい目線と切り口でストーリーを拡げていくが、逆に盛り込みすぎで軸がぶれぶれ。リスベットの生い立ちにまつわるテーマかと思いきや、途中から登場するある人物にスポットが当てられ、結果的にリスベットもミカエルも主役ではなくなってしまった。全員が脇役で主役がいないという違和感。

もはや、スティーグ・ラーソンの『ミレニアム』ではない。ラーゲルクランツのオリジナル作品としてなら面白く読めると思う。
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