『摩天楼の怪人』/島田荘司

11 18, 2005
4488012078摩天楼の怪人
島田 荘司
東京創元社 2005-10
自己評価
  • 第六位『本格ミステリ・ベスト10』(2006)
  • 第十位『週刊文春ミステリー・ベスト10』(2005)

マンハッタンの高層ビル34階。突き刺さったようなガラスのテラスが、そこにはあった。その不思議な住居の一室で死の床にあった往年の大女優が、半世紀近く前の殺人を告白し、この摩天楼の不可能犯罪の謎をコロンビア大学助教授・御手洗潔に解くよう促し、息をひきとった。女優たちの自殺、建築家の謎の爆死、時計塔の凄惨な殺人、半世紀にわたる数々の謎、そしてファントムとは誰か?
一気に読み終えたが、当初、「本当にこの作者が書いたのか?」という変な違和感があったため、それが解消される間は非常に不快だった。若き御手洗には後の奇人変人ぶりは見受けられない。彼を始め、キャラがあっさりとしすぎているような気がした。本作品の主人公は“摩天楼”なのだろう。怪事件が次々出てくるが、作者本来のトリックのキレは残念ながら鋭いとは言えない。大掛かりで、このストーリーでなくては成立しない類のものではあるが、一度にコンパクトにまとめすぎた感がある。頭の中で映像化してみると、本作品は素晴らしいと思う。しかし、物言わぬ建造物にスポットが当たりすぎて、肝心のトリックも動機も、とってつけたように思えてしまった。トリックとストーリーを同じ目線で見れば、それはそれで面白く、充分楽しめる作品であることは間違いない。
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