『ダ・フォース』/ドン・ウィンズロウ

05 13, 2018
ダ・フォース 上
ダ・フォース 下
ドン・ウィンズロウ
ハーパーコリンズ・ ジャパン 2018-03-26
自己評価:

マンハッタン・ノース特捜部、“ダ・フォース”を率いるデニー・マローンは刑事の王だ。だが、麻薬組織の手入れの際に行ったある行動をきっかけに、彼の人生は転落の道をたどり始める。仲間内に衝撃と疑心暗鬼が広がる一方、複雑に絡み合う悪に追いつめられていく刑事マローン。哀哭の街で男たちを待ち受ける結末とは? 圧倒的熱量を放つ渾身の警察小説。
  • 第五位『このミステリーがすごい!』(2019)
ダーティーな刑事が、裏切者の枠の中でもがき踏み止まろうとするストーリー。ミステリ要素はほとんどない。彼らは汚職で手にした金で贅沢するのではなく、子供たちをいい大学に通わせるための資金にしようとするなど、あくまで目的は現実的。少し前に見た海外ドラマ『シェイズ・オブ・ブルー』を連想してしまう。下巻に入った辺りから徐々に歯車が動き出す。

そこで描かれるのは、腐敗の底なし沼と圧倒的なリアリズム。マローンが目指すところは、ニューヨークの犯罪組織を根こそぎ撲滅することではなく、犯罪組織を管理し現状を維持すること。このスタンスに現場の警察官のハードさがよく表れているように、作者の刑事に対する共感や敬意が本作品の根底にある。巻頭に列挙された殉職警察官のリストは印象的。

帯には”犬の力 ザ・カルテル すべてはこの作品のプロローグに過ぎなかった!”とあるが、それは過大評価。スケール、熱量、どれをとっても二作品の方が上回っている。マローンのキャラにしても途中から「刑事の王」に見えなくなってきたし、ツッコミたくなるシーンもちらほらあったかな。

ジャンルとしてはノワールでしょう。これを「警察小説」とすると、汚職刑事を肯定するようでイヤなので、個人的には犯罪小説として読んでほしいです。
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