『そしてミランダを殺す』/ピーター・スワンソン

05 22, 2018
そしてミランダを殺す
ピーター・スワンソン
東京創元社 2018-02-21
自己評価:

空港のバーでテッドは見知らぬ美女リリーに出会う。酔った彼は、妻ミランダの浮気を知ったことを話し「妻を殺したい」と言ってしまう。リリーはミランダは殺されて当然だと断言し、協力を申し出る。だが決行の日が近づいたとき予想外の事件が起こる。男女4人のモノローグで、殺す者と殺される者、追う者と追われる者の策略と攻防を描く傑作ミステリ。
  • 第二位『このミステリーがすごい!』(2019)
  • 第二位『週刊文春ミステリーベスト10』(2018)
シニカルでブラックで意外性に富んでいる──久々に良質のサスペンスを堪能した。

物語は、テッド、リリー、ミランダ、そしてもうひとりの視点から語られていく。三部構成で、それぞれの終盤に意外な出来事を用意して、様相の異なる次章へと場面を変える。

原題は「殺されてしかるべき者」。殺人の正当性を力強く主張するリリーは曲者で反社会的人格者なのだが、その歪みっぷりが逆に魅力的。隠れた素顔が明らかになる過去を経て、追い込まれる窮地にもひるまず、独特の嗅覚を持つ刑事との一騎打ちへと流れていくストーリーは先が読めず目が離せない。

「Aと思わせて実はBだった」というお約束の展開は、ストーリーが進むほどバリエーションが少なくなるが、それでもこの作者は斜め方向から切り込み、少しずつ読者の予想を裏切ってくる。通常は「起承転結」で落ち着くが、本作品は「起承転」で「結」がない。それでもステキに着地しているのだから、見事な構成というしかない。早く次作が読みたいなー。
2 Comments
Cozy09.29.2018 URL [edit] 

話題作ですが、評判通り、良い作品でした。

物語の構成も良く出来ていると思いましたが、リリーが普通じゃないことをしているのに、平然としている姿が、キレキレのサイコではない、しっかりとしたサイコの描き方だったかなと思いました。

がる@管理人09.30.2018 URL [edit] 

面白く読めてよかったです。

リリーのキャラは独特ですよね。
最初、ルメートルの「アレックス」を連想したのですが、あそこまで徹底してないし、リリーなりの価値観とか倫理観を持った、ちょっと目新しいサイコなのかなと思いました。

Leave a comment
管理者にだけ表示を許可する
OK?
1 Trackbacks
Karmaなミステリ読書ブログ09.29.2018

「『薔薇の時もイチイの時も長さは同じ』 もちろん、この言葉は殺人を正当化しているわけじゃない。でも、どれほど多くの人が、万人が長い人生に値すると思いこんでいることか。これはそのことに対する警句だと思うわ」 『そしてミランダを殺す』(ピーター・スワンソン) pp.76-77 空港のバーで離陸までの時間をつぶしていたテッドは、見知らぬ美女リリーに出会う。彼は酔った勢いで、妻のミラ...

Top
CATEGORY
TAG CLOUD
COMMENTS
TRACKBACKS
TRACKBACK PEOPLE
LINKS