『花殺し月の殺人』/デイヴィッド・グラン

07 28, 2018
花殺し月の殺人――インディアン連続怪死事件とFBIの誕生
デイヴィッド・グラン
早川書房 2018-05-17
自己評価:

1920年代、アメリカ南部オクラホマ州。先住民オセージ族が「花殺しの月の頃」と呼ぶ5月のある夜に起きた2件の殺人。それは、オセージ族とその関係者20数人が、相次いで不審死を遂げる連続殺人事件の幕開けだった。私立探偵や地元当局が解決に手をこまねくなか、のちのFBI長官フーヴァーは、特別捜査官トム・ホワイトに捜査させるが、解明は困難を極める。石油利権と人種差別が複雑に絡みあう大がかりな陰謀の真相は? 主要メディアで絶賛された犯罪ノンフィクション。
豊富な原油を埋蔵する土地に居住するオセージ族は、油田を開発する権利を石油会社に売り巨万の富を抱え、全米でも屈指の富裕層となる。その利権を狙う白人たちの手により、オセージ族の人々が次々と殺されるのだが、犯人はつかまらない。当時は、科学捜査が確立しておらず警察制度も未整備のまま。被害者遺族たちは自費で私立探偵を雇うが、探偵そのものが不正を働くたちの悪い連中でもあり真相は解明されない。連続殺人が全米でも注目を集め始めたとき、FBIは若き捜査官を現地に送り込む。

ここまでがクロニクル1。三部構成になっており、クロニクル2(捜査局が掴んだ手掛かりと裁判)、クロニクル3(筆者独自の調査)と展開していく。まさに「事実は小説よりも奇なり」なストーリーで、読むほどにどんどん引き込まれていった。インディアンたちの人権をいかに無視して領土を拡大したか、またオセージ族から石油の利権を奪い取るために白人たちが手を下した残忍な犯罪の数々といったアメリカ建国の暗黒部分がこってり描かれる。

FBIは一連の殺人事件で計24人が命を落としたとして、事件の捜査を終わらせた。ところが、本書はさらに追及を続ける。そこで明らかになる葬られた犯罪と、現在でも心に傷を抱えた人々がいることへのやるせなさの対比が、読後のインパクトを後押しする。「おれのものはおれのもの。先住民のものは白人のもの」─ジャイアンの名言を合言葉に、インディアン・ビジネスに群がる強欲な白人の卑劣さおぞましさ。映画化によってひとりでも多くの人にこの事実を知ってほしい。それにしてもアメリカって暗黒史の宝庫よね。
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