海外クラシック・ベスト20 

Posted at 2005/11/19
Tb(1)Com(7)
のりりんの、『本格ミステリ・アンソロジー』で紹介してあった海外古典ミステリの覚え書き。

時間がある時に読んでみよーっと。

1.シャーロック・ホームズの冒険(1892) コナン・ドイル
名探偵の代名詞シャーロック・ホームズの第一短編集。『赤毛連盟』『まだらの紐』『唇のねじれた男』等、粒よりの名作が目白押し。ホームズとワトスンの会話は、どんなに時代が変わってもフレッシュさを失わない。

2.ブラウン神父の童心(1911) G・K・チェスタトン
直感型名探偵ブラウン神父の事件簿は、切れ味鋭い逆説(超論理)と奇想天外なトリックの宝庫である。これを読まずしてミステリは語れない。本書は、「犯人=芸術家、探偵=批評家」という公式を打ち出したことでも重要。

3.トレント最後の事件(1913) E・C・ベントリー
アマチュア探偵トレントが、実業家の名士の殺人に挑む。人間味のある名探偵と推理過程のフェアな記述を意識した、黄金時代の先駆的作品。美貌の未亡人との恋愛がプロットと巧みに融合し、意外な真相の演出も鮮やか。

4.八点鐘(1923) モーリス・ルブラン
怪盗紳士ルパンが、レニーヌ公爵と名を変えて登場。美しい貴婦人とコンビを組んで、八つの難事件を次々と解決する本格推理連作集。トリッキーな謎解きと、ロマンティックな冒険活劇の魅力が組合わさった秀作。

5.カリブ諸島の手がかり(1929) T・S・ストリブリング
カリブ海の島々を舞台に、名探偵ポジオリ教授が遭遇するエキゾチックな怪事件。合理と非合理がせめぎ合う独特の作品世界は、本格にとっての試金石でもある。『ベナレスへの道』の結末は、ミステリ史上空前絶後。

6.僧正殺人事件(1929) ヴァン・ダイン
キザで饒舌な貴族探偵ファイロ・ヴァンスが、科学者間で起こった奇想天外なマザーグースの童話殺人に挑む。作者は、《推理小説作法の二十則》で有名だが、後世のサイコスリラーにも通ずる異様なサスペンスと犯人像が秀逸。

7.毒入りチョコレート事件(1929) アントニイ・バークリー
毒殺事件をめぐり、犯罪研究会の六人のメンバーが各自の推理で犯人を指摘する。ひとつの事件に複数の解決を併設した「循環形式」のはなれわざは、数多くの追随者を生んだ。批判精神旺盛な鬼才の面目躍如たる傑作。

8.Xの悲劇(1932) エラリー・クイーン
名探偵ドルリー・レーンが活躍する『悲劇四部作』の第一作。電車内の殺人、異様な凶器、ダイイング・メッセージ等、道具立ても賑やかだが、明晰で隙のない論理と犯人の意外性が図抜けている。幕切れの一行(フィニッシング・ストローク)も見事。

9.ナイン・テイラーズ(1934) ドロシー・L・セイヤーズ
タイトルは擬人化された『九つの鐘』の名前から。ピーター卿が訪れた地方教区の村で身元不明の死体が発見される。やがて村を襲う洪水…。個々のトリック以上に、「神の意志」が見え隠れする全体小説的な構成が圧巻。

10.サンタクロース殺人事件(1934) ピエール・ヴェリー
クリスマスで賑わう玩具の町で、宝石の紛失とサンタクロースに扮した見知らぬ男の殺人が相次いで起こる。メルヘン調の作風だが、澄みきったロジックとファンタジーが奇蹟のように融合して、本格ミステリのユートピアを実現。

11.ABC殺人事件(1935) アガサ・クリスティー
名探偵ポワロの許に殺人を予告する挑戦状が届き、イニシャルのABC順に英国各地で連続殺人が起こる。「ミステリの女王」が一見無関係な被害者の共通性を探す「ミッシング・リンク・テーマ」を完成させた不朽の名作。

12.腰ぬけ連盟(1935) レックス・スタウト
新進作家の周辺で、彼に負い目のある「贖罪連盟」のメンバーが次々と変死。蘭とビールを愛する超肥満探偵ネロ・ウルフと助手のアーチーが解決に乗り出す。アメリカ最強の探偵コンビの魅力が詰まったシリーズの代表作。

13.ユダの窓(1938) カーター・ディクスン
密室の中で殺された被害者と二人きりで発見された容疑者――絶体絶命の被告人の弁護に立ったH・M卿は、「ユダの窓」なる出入り口の存在を示唆するが…。「不可能犯罪の巨匠」が法廷ミステリに挑戦した異色の傑作。

14.ある詩人への挽歌(1938) マイクル・イネス
冬のスコットランドで、古城の城主が謎の墜落死を遂げる。アプルビイ警部を含む複数の語り手がリレー形式で綴る構成の妙。「英国ファルス(喜劇)派」の代表作が重厚華麗な筆致で、巧みなどんでん返しを仕掛ける。

15.野獣死すべし(1938) ニコラス・ブレイク
物語はひき逃げされた息子の復讐を誓う父親の痛ましい手記で始まる。犯人の視点から殺人計画を描く倒叙形式が、中盤以降、犯人探しの謎解きに転じるスリルと、卓越した心理描写で、イギリス新本格を代表する名作。

16.猿来たりなば(1942) エリザベス・フェラーズ
イギリスの片田舎にやってきた凸凹探偵コンビ、トビー&ジョージは、チンパンジーの誘拐殺人という前代未聞の珍事件に遭遇するが…。巧みな伏線と意外な真相に加え、ユーモラスな筆致で再評価の著しい英国女流の傑作。

17.赤い右手(1945) ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ
アメリカの片田舎で繰り広げられる悪夢のような連続殺人。異様な熱気と混沌に支配された語り口と、大胆不敵なミスディレクションが、読者を驚愕の渦に引きずり込む。並み居るマニアをあっと言わせたカルト的名作。

18.自宅にて急逝(1946) クリスチアナ・ブランド
偏屈な当主が、遺言状の書き換えを宣言した夜、離れのロッジで殺される――足跡のない不可能状況下で。作者十八番のどんでん返しに次ぐどんでん返しはもちろん、パズラーの手法で「狂気」を描ききった鬼気迫る傑作。

19.五番目のコード(1967) D・M・ディヴァイン
リアルな人物描写に定評のある六〇年代英国本格の代表選手が、「ミッシング・リンク・テーマ」に新天地を求めた意欲作。「殺人者の告白」を章間に挿入、叙述にも工夫をこらして、読者に挑戦するモダンなパズラー。

20.ママは何でも知っている(1977) ジェイムズ・ヤッフェ
刑事の息子の話を聞くだけで、即座に事件の真相を見抜く「ブロンクスのママ」。『黒後家蜘蛛の会』『九マイルは遠すぎる』と並ぶ米国三大安楽椅子探偵シリーズで、人情の機微に通じたママの快刀乱麻を断つ推理が冴え渡る。


※ 「時代を生き抜いた黄金の古典本格ミステリー20」
(「GQ JAPAN」二〇〇一年九月号、特集・ミステリー万歳!)
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Comment

ジーツー
at 2005/11/19/ 18:17 | URL | EDIT
どれもそそるなあ。特に『野獣死すべし』が読みたい。
だいたい、読みたい本が多すぎるので、2年くらい休みがほしいです。
がる@管理人
at 2005/11/19/ 20:36 | URL | EDIT
私は、『赤い右手』『ママは何でも〜』がタイプです☆
今日、カー(ディクスン)作品を三冊借りてきました。
『火刑法廷』から読み始めてますが、序盤ですでに“うはうは状態”です。
今後の予定としては、『爬虫類館』『カギ煙草』『帽子収集狂』
聞き覚えのある作品から読んでいこうかな、と。

チャンドラーの『長いお別れ』が、全然別の場所にあったので、ブツブツ文句言いながら元の場所に戻しておきました。
Cozy/Delerium
at 2005/11/20/ 22:06 | URL | EDIT
12冊、読んでました。
ランキングなのかと思ったら、年代順に並んでいるだけなのですね。

一番好きなのは『カリブ諸島の手がかり』(T・S・ストリブリング)です。ホント、ストリブリングは頭おかしいんじゃないかと思います(笑)
がる@管理人
at 2005/11/21/ 09:24 | URL | EDIT
やっぱデレさんかぁ?
私、たったの四冊…(-ω-;)
『カリブ諸島』も読んだと思うが全く記憶にない。
『ベナレス』のラストがすごいのなら、覚えててもいいはずなのだが…。
Cozy/Delerium
at 2005/11/21/ 21:03 | URL | EDIT
『ベナレス』のラストは衝撃的すぎましたよー。
Cozy/Delerium
at 2005/11/21/ 21:06 | URL | EDIT
でも、バカミス的な衝撃だったので、バカミス嫌いはちょと覚えてないかもしれないです。

コメントの編集できないの。
がる@管理人
at 2005/11/21/ 21:36 | URL | EDIT
似たような短編を読んだので、ラストはなんとなく想像出来ます。

コメント編集できませんか?
さっき試してみたらちゃんと出来たよ。おかしいなぁ…

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読書好きな僕ですが、ミステリーや推理小説は比較的敬遠していた分野でして、心底大好きなシャーロック・ホームズのシリーズ以外はほとんど読んだことがありませんでした。そんな僕が 〔2005/12/18/ 22:23 〕
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