『数字を一つ思い浮かべろ』/ジョン・ヴァードン

10 24, 2018
数字を一つ思い浮かべろ (文春文庫)
ジョン・ヴァードン
文春文庫 2018-9-4
自己評価:

数字を一つ思い浮かべろ。その奇妙な封書にはそう記されていた。658という数字を思い浮かべた男が同封されていた封筒を開くと、そこにあった数字は「658」──数々の難事件を解決してきた退職刑事に持ち込まれた怪事は、手品めいた謎と奇怪な暗示に彩られた連続殺人に発展する。眩惑的な奇術趣味と謎解きの興趣あふれる華麗なミステリ。
  • 第四位『本格ミステリ・ベスト10』(2019)
  • 第七位『週刊文春ミステリーベスト10』(2018)
  • 第九位『このミステリーがすごい!』(2019)
初読みの作家。しかも特異なあらすじがバカミスっぽく見えたので正直不安要素の方が大きかったが、それを払拭して余りある面白さだった。

序盤は手探り状態。数字の謎も、主人公と知人の微妙な距離関係もややとっつきにくく退屈しかけたが、殺人事件に発展してからは一気にストーリーが流れていく。退職刑事ガーニーは不可解な謎をひとつひとつ解明しながら調査を進めるが、新たな事件が新たな謎を生み、当初の予想をはるかに超える連続殺人計画が浮かび上がる。大まかな骨格は警察ミステリだが、本格ミステリ色が非常に濃い。謎のテーマがhowdunitからwhydunitへと繋がり、意外性に富むラストまで飽きることなく突っ走る。

事件を取り巻く状況やアイテムにどことなく古典っぽさを感じたので、現代ミステリでは珍しいと感じていたら、作者はリタイア後、古典本格を読み漁って作家デビューしたようだ。海外には日本でいうところの「本格ミステリ」にあたる言葉がないが、英米語圏のミステリ・シーンでは「honkaku mystery」というワードが使われ始めているらしい。そんな「honkaku」の書き手として期待できるひとりが作者なのだとか。

今年の収穫本。リピ決定。今後も作者の描く「honkaku」に期待大だわ。
2 Comments
Cozy02.23.2019 URL [edit] 

タイトルはバカミスっぽいタイトルですよね。
なので、バカミスであってほしい(笑)という気持ちもあったのですが、蓋を開けてみると、個人的には2018年のベストでした!

1から1000の風呂敷を広げすぎた感のある事件を真っ当に推理すると、やはりメレリー個人を狙ったというのが想定しにくいとは思ったのですが、結果として、シリアルキラーに繋がっていくというのは良い構成だったと思います。

がる@管理人02.26.2019 URL [edit] 

お。2018年のベストですか。ふむふむ。
「バカミスであってほしい(笑)」──デレさんらしくてちょっとツボってしまいました(笑

確かに、細かい部分では若干厳しいと思えなくもないのですが、
それも含めて本格の枠組みで真っ当に勝負する構成は秀逸だなーと思いました。

Leave a comment
管理者にだけ表示を許可する
OK?
1 Trackbacks
Karmaなミステリ読書ブログ02.02.2019

わたしが658という数字を思い浮かべるなんて、誰にも分かるはずがない 『数字を一つ思い浮かべろ』(ジョン・ヴァードン) pp.38 まるで手品のような、謎、謎、謎! 退職刑事、怪奇な不可能犯罪に挑む。 1000までの数字を頭に思い浮かべてみろ。 退職刑事ガーニーの友人のもとに届いた手紙はそう命じていた。 思い浮かべた数字は、658。指示にしたがって同封され...

Top
CATEGORY
TAG CLOUD
COMMENTS
TRACKBACKS
TRACKBACK PEOPLE
LINKS