『べっぴんぢごく』/岩井 志麻子

04 18, 2019
べっぴんぢごく (新潮文庫)
岩井 志麻子
新潮社 2008-8-28
自己評価:

死霊が彷徨い、腐臭漂う岡山の寒村。村で一番の分限者の家に生れながら、牛蛙と綽名されるほど醜いふみ枝は、母シヲの淫蕩な美しさを憎悪する。しかしふみ枝の娘は、シヲに生き写しの、禍々しいまでの美貌を備えていた。美女と醜女が一代交替で生れるのは、禁忌を犯した罰か、土俗の死霊の祟りなのか――。呪われた家系を生きた六代の女たち、愛欲と怨念にまみれた、百年の因果の物語。
とある週刊誌で作者の短編を読んで面白かったので、興味本位でホラー色の弱めの本作品を選んでみた。

女系旧家六代の物語で、美女と醜女が交互に生まれてくる奇怪な運命を追う竹井家の女たちがいかに生い立ち、数奇な流転の末に子種を宿すかという部分に主眼を置いて綴られていく。宿業を背負う女たちの生き様と、彼女らにまとわりつく死霊の描写は怖いというよりも、生臭さの漂う薄ら恐ろしい感じ。

生きる事と性が直結した世界観が岡山弁とともに独特の筆致で描かれており、歴史の闇を覗き見るという濃厚な物語に圧倒されっぱなしだった。ミステリとは違うので、ぶつ切りの展開に戸惑うこともあったが、品のあるエログロの岩井ワールドの凄まじさを堪能し、読後しばらくその余韻から抜け出せなかった。

六代ともなると、終盤は似たような展開で飽きてしまうのが普通だが、終章間際に投入された章の物語が素晴らしく、ここで女系六代を怨念の糸で結ぶことにより、時代を遡って一気に現代へと駆け抜ける構成の妙を見せつけられるのが憎らしい。

テレビでは奇抜な風貌であけすけに喋っているけど、すごい作家さんよねー(笑
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