『三つの棺』/ジョン・ディクスン・カー

11 26, 2005
4150703531三つの棺
ジョン・ディクスン・カー
早川書房 1979-07
自己評価

生命に関わる重要な話があるので後日訪問したい――突然現れた黒装束の男の言葉に、酒場で吸血鬼談義をしていたグリモー教授は青ざめた。三日後の雪の夜、謎の人物が教授を訪れた。やがて教授の部屋から銃声が聞こえ、居合わせたフェル博士たちが駆けつけると、胸を撃ち抜かれた教授が血まみれで倒れていた。しかも密室状態の部屋から、客の姿は煙のごとく消えていた…。史上名高い《密室講義》を含むカー不朽の名作。

最初に提示される謎は、挑戦するに値する不可能犯罪。小道具が多く、どれが罠でどれが本物なのか見極めようとしている間にストーリーの面白さに支配され、推理しようとする思考は鳴りを潜めてしまった。

《密室講義》は少し期待外れ。『天城一の密室犯罪学教程』の方がはるかに面白いのだが、そのベースは本作品の《密室講義》なのだろう。読後に思い返してみると、この講義が言い訳のようにも思えなくはない。確かに本格ミステリとしては素晴らしい出来だと思うが、ラストの真相に対しては首を傾げたくなるのも事実。一寸の狂いもなく綿密に組み立てられたプロットだが、私には綿密過ぎた。

ただ、グリモー教授の絶命前の言葉の解釈に関しては、これ以上ないくらいに納得できた。裏返しにされた、「謎」というカードが最後で次々と表を向く。そのひとつふたつにハッとさせられ必要以上に納得させられるから、カーという作家に感服し、より一層の魅力を感じてしまうのだろう。
2 Comments
ジーツー11.26.2005 URL [edit] 

鏡のはどうかと思うけど、ダブルミーニングが素晴らしいんですよ。ちょっと見方を変えれば全然違う真相になっていて。

がる@管理人11.27.2005 URL [edit] 

『火刑』に続く鏡モノはちょっとねぇ~
密室講義を応用すれば犯行可能なのは一人しかいない。
それに思い当たった時、「すげぇ!」と感服したのですが、
宝石店(?)の時計のくだりでまた「おいおい」ってなって…。
でも確かに『三つの棺』でしたね。

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